武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️懐かしの英語の歌を読む(16) Procol Harum「青い影」


今回和訳したのは、イギリスのロックバンドプロコル・ハルム(Procol Harum)」の1967年のデビュー曲「青い影(A Whiter Shade of Pale)」だ。歌詞はメロディから描いていたイメージとは全然違っていて、結構難解だった。

f:id:musashino007:20240609065835j:image プロコル・ハルムのメンバー。左から2番目がピアノとボーカルのゲイリー・ブルッカー

 

曲自体は、J.S.バッハの『管弦楽組曲第3番(いわゆるG線上のアリア)』(YouTube)のようなハモンド・オルガンのイントロが特徴で、何処かで聞いたことがある人が多いのではないだろうか。私がこの曲を初めて聞いたのは、リリースされてから10年くらい経った、私が大学生になったばかりの頃である。当時、歌詞は全然わからなかったが、そのメロディと歌声は心にズンと響いた。

G線上のアリアだけでなく、1966年の米国歌手パーシー・スレッジの『男が女を愛する時(When a Man Loves a Woman)』(YouTube)の影響を受けているという話もあるようだ。

 

バンド名のプロコル・ハルム(Procol  Harum」ってどういう意味なんだろうと、ずっと不思議だったが、今回調べてみたら「Beyond these things」を意味するラテン語(本来はprocul hīs)とプロデューサーの飼い猫の名をもじって付けたものらしい。私なんかは仕事柄(もう辞めたけど)、つい「プロトコル」と言い間違えてしまう^^;

 

f:id:musashino007:20240609195647j:imageアルバムジャケット。ひょっとして、歌詞に出てくる「ヴェスタの巫女」を表しているのだろうか・・


さて、邦題の「青い影」であるが、原題のA Whiter Shade of Pale」は、「みるみる蒼白になっていく顔の色調」を現している。漫画でよく使われる縦線が入った青ざめた顔を思い浮かべてみて欲しい。多分そんな感じだと思う。よくぞ、たった3文字「青い影」と訳したものだ。

 

 

まずは、この「青い影」を聴いてみよう。

⚫︎Procol Harum「A Whiter Shade of Pale」
(英語の歌詞付き)

 

 

それでは、懐かしの英語の歌を読む(16) スタート!

 

A Whiter Shade of Pale
(青い影)


1番

We skipped the light fandango
その軽快なファンダンゴ(注1)は僕らはスキップした
(注1) ファンダンゴはスペイン起源のダンス。特にフラメンコで男女ペアで踊るダンスが有名
Turned cartwheels 'cross the floor
だってフロアを横切ってくるくる回転してたら
I was feeling kinda seasick
船酔いみたいになりそうだったから
But the crowd called out for more
でも周りのみんながもっとやれって囃すんだ


The room was humming harder
部屋はどんどん騒がしくなって
As the ceiling flew away
天井が飛んで行きそうだった
When we called out for another drink
お酒のお代わりを僕らが頼んだら
The waiter brought a tray
ウェイターがトレイを持ってきた


And so it was that later
その後のことだ
As the miller told his tale
粉屋(注2) が浮気の話をすると
(注2)カンタベリー物語』で、無作法な酔っ払いの粉屋が、周りが止めようとするのを無視して、大工の主人の若い妻が浮気をした話をした物語のこと。ここでの「粉屋」は、有名な浮気物語を仄めかしているのか、自分自身なのか、はたまた会場の酔っ払いの友人なのか?
That her face, at first just ghostly
最初は幽霊のようだった彼女の顔が
Turned a whiter shade of pale
みるみる青白くなっていった


(間奏)

2番

She said, 'there is no reason
彼女は言った 「理由は無いわ
And the truth is plain to see'
真実は見ての通りよ」
But I wandered through my playing cards
でも僕はどうするべきか悩んだ
And would not let her be
彼女をそうさせたくはなかった

 

One of sixteen vestal virgins
16人のヴェスタの巫女(注3)の一人が
(注3)ヴェスタの巫女は、古代ローマで信仰された火床をつかさどる女神ヴェスタに仕えた6人の巫女たちのこと。一生の純潔を求められていて、破ると死刑(生きたまま地下室に閉じ込め)となった。「16人」は代々の巫女の数?・・
Who were leaving for the coast
罰を恐れて海岸に向かったようなことを
And although my eyes were open
僕の目は開いていたけれど
They might have just as well've been closed
何も見えなかった方が良かったかもしれない


And so it was that later
その後のことだ
As the miller told his tale
粉屋(注2) が浮気の話をすると
That her face, at first just ghostly
最初は幽霊のようだった彼女の顔が
Turned a whiter shade of pale
みるみる青白くなっていった

 

いゃ〜、今回の「A Whiter Shade of Pale」。始めてからすぐに、「選ぶんじゃなかった〜」と後悔した。直訳しても何のことか、作者は何を言いたいのかさっぱりわからない。何じゃこれは〜と調べているうちに、なんとなく自分なりの解釈がまとまってはきたが・・💦

調べる過程で、世の中にはいろんな解釈の和訳(特に粉屋とヴェスタの巫女の部分)が存在していて、とにかく難解な曲であることはわかった。メンバー自身も意味がよく分からん、と言ってるらしいので、無理もない。

ましてや、実は1番2番だけじゃなくて、コンサートでは歌うらしいextraバージョン(3番4番まで)もあるんだとか。何とか歌詞を探してみて読んではみたが、余計分からなくなったので、諦めた。正式にリリースされた2番までの歌詞で、今回はまとめることにした次第である。

 

もちろん歌詞の中身が難解とはいえ、この曲はやはり、1960年時代の名曲であることに変わりはない。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

⚫︎今までの「懐かしの英語の歌を読む」は、下記にまとめてあります。よろしければ、薄緑の文字をクリックして覧ください。

(1) CARPENTERS「YESTERDAY ONCE MORE」
(2) CARPENTERS 「TOP OF THE WORLD」
(3) Celtic Woman「You Raise Me Up」
(4) Rechard Sanderson 『ラ・ブーム』より「愛のファンタジー(Reality)」
(5) ABBA 「Dancing Queen」
(6) Bob Dylan 「Blowin’ in The Wind (風に吹かれて)
(7) Audrey Hepburn「Moon River」
(8,9,10) クリスマスソング 「White Christmas 」「Blue Christmas」「Silent Night」
(11) Air Supply「Lost In Love」
(12,13) Bee Gees『小さな恋のメロディ』から「Melody Fair」「First of May」
(14)「ダニー・ボーイ(Danny Boy)」
(15)「哀愁のカサブランカ」原曲