武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️懐かしの英語の歌を読む(6)Bob Dylan 「Blowin’ in The Wind (風に吹かれて) 」


今回は急遽、Bob Dylan (ボブ・ディラン)の
「Blowin’ in The Wind (風に吹かれて) 」を選んだ。プロテスト・ソング、反戦歌として知られている、1963年(昭和38年)リリースの曲である。

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パレスチナハマス)とイスラエルの復讐・報復の連鎖が止まらない。ガザへの地上侵攻や空爆は止まらず、病院には爆弾が落ち、一般市民が泣き叫ぶ。逃げる場所がどこにも無い監獄のようなガザ。

国連は10月27日、総会の緊急会合で、「人道的休戦」を求める決議案を採択したが、総会決議に法的拘束力はなく、ガザ地区を攻撃するイスラエルの行動をすぐには変えられない。今すぐ止めるべきなのに、国連も安保理も機能不全だ。日本はアメリカを意識して棄権。
そしてついに11月2日夜、イスラエル軍は北部のガザ市の包囲を完了し、大規模な地上侵攻を始めた。私はといえば、平和なここ日本で、ニュースを見ていることしかできない。

日本では、病気や怪我をしたら、クリニックや病院で診てもらえる。友人や恋人や家族と、散歩したり、買い物したり、飲みに行ったり、レジャーも楽しめる。ごく普通の、ごく当たり前の日常がそこにはある。

でも、生まれた時からミサイルと銃撃に囲まれて育ち、逃げたくても何処にも逃げられずにいる人たちが、瓦礫の中で泣いている子供たちが、あそこにいる。「どうやって生きていったらいいの?教えて!」とカメラの前で泣く少女。不条理で、地獄のような人生を送るしかない人たちが、あそこで苦しんでいる。

f:id:musashino007:20231102165630j:imageガザ地区北部のジャンバラヤ難民キャンプで10月31日、空爆された現場で死傷者を捜索するパレスチナ人たち=ロイター

どうして止められないのか、今回改めてパレスチナイスラエルの歴史を勉強してみたが、私には複雑で難しすぎる。イスラエルが「全世界を敵に回しても、神に与えられた領土(国民)を守る」と言っている以上、どうあがいても止められそうにないし、どうなってしまうのか。どこに答えがあるのか?


そんな時に、「友よ、答えは風に吹かれている」と歌った、ボブ・ディランの「Blowin’ in The Wind 」(1963年)が頭に浮かんだ。そうだ、この曲を訳してみよう。
この曲は、パフや500マイルで日本でも有名なフォークグループのPeter, Paul & Mary (PPM)(ピーター・ポール&マリー)のカバーの方が、私には馴染みが深い。PPMのカバーが世界的にヒットしたことで、ボブ・ディランの名も世に広がったそうだ。

ボブ・ディランはこの歌の53年後の2016年、「アメリカ音楽の伝統を継承しつつ、新たな詩的表現を生み出した功績」で、歌手としては初の快挙となるノーベル文学賞を受賞している。

まずは、YouTubeで、ピーター・ポール&マリーと本家ボブ・ディランの歌を聴いてみよう。

⚫︎Peter, Paul & Mary「Blowin’ in The Wind」
(まずは馴染みのあるPPMのライブ映像から。歌詞付き)

⚫︎Bob Dylan「Blowin’ in The Wind」
(次はギター1本で歌うボブ・ディラン。この曲を出した時の彼の年齢は22歳である。)

 

それでは、「英語の歌を読む」6曲目スタート!

Blowin’ in the Wind

1a
How many roads must a man walk down
どれだけの道を、人は歩まなければならないのだろう
Before you call him a man?
一人前と呼ばれるまでに

1b
How many seas must the white dove sail
どれだけの海を、白い鳩は渡らなければならないのだろう
Before she sleeps in the sand?
砂浜で眠りにつくまでに

1c
Yes, and how many times must the cannonballs fly
いったい何度、砲弾は飛び交わなければならないのだろう
Before they’re forever banned?
永遠に禁止されるまでに

A1
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
答えは、友よ、風に吹かれている
The answer is blowin’ in the wind
答えは、風に吹かれて舞っている

2a
Yes, and how many years can a mountain exist
いったい何年、山は存在できるのだろう
Before it is washed to the sea?
海に流されてしまうまでに

2b
Yes, and how many years can some people exist
いったい何年、あの人たちは生きられるのだろう
Before they’re allowed to be free?
自由が許されるまでに

2c
Yes, and how many times can a man turn his head
いったい何度、人は顔をそむけ
And pretend that he just doesn’t see?
見て見ぬふりすることができるのだろう

A2
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
答えは、友よ、風に吹かれている
The answer is blowin’ in the wind
答えは、風に吹かれて舞っている

3a
Yes, and how many times must a man look up
いったい何度、人は見上げなければならないのか
Before he can see the sky?
空が見られるまでに

3b
Yes, and how many ears must one man have
いったい幾つの耳を、人は持たなくてはならないのだろう
Before he can hear people cry?
人々の泣き叫ぶ声が聞けるようになるまでに

3c
Yes, and how many deaths will it take till he knows
いったいどれだけ死者が出たら、人は気づくのだろう
That too many people have died?
あまりに多くの人が、死んでしまったことを

A3
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
答えは、友よ、風に吹かれている
The answer is blowin’ in the wind
答えは、風に吹かれて舞っている
The answer is blowin’ in the wind
答えは、風に吹かれて舞っている

 

まさに、今のパレスチナイスラエルの現状そのものではないか。ガザは屋根の無い監獄と言われている。その中で、世界中の人が見ている中で、毎日大勢の人が死んでいる。どれだけ多くの人が死んだら気づくのだろうという歌詞に、胸が痛む。


「答えは風に吹かれて舞っている」の部分、どう解釈したら良いのだろうか。私には「答えはもうある。だけど風に舞っていて、人は掴むことができていない。その答えを、みんなで掴もうよ!」と訴えているように感じた。でも、矛盾するが、答えがわかっていても掴めないから、地球上から、人類から戦争は無くならないのだろうな、とも思う。そう考えると、うーん、ボブ・ディランは何を言いたかったのか。もっとはっきり言って欲しかったな…。


ボブ・ディラン自身は「自分の詩が勝手に解釈され、運動の象徴として扱われることに辟易している」と語っている。皆さんはどう解釈しますか?



国境なき医師団に所属する日本人看護師白川優子さんが書かれた「紛争地の看護師」という本(2018年7月出版、小学館)を読むと、地獄のような紛争地は、パレスチナだけではないことがよくわかる。全世界で、戦争・紛争によって、貴重な一人一人の人間の命が失われ続けている現状に、もっと目を向けなくてはいけないと反省した。

【参考】
⚫︎国境なき医師団 HP

国境なき医師団日本 活動報告書2022」
報告書の6P〜7Pを見ると、国境なき医師団がどれだけ多くの世界の紛争地に派遣されているかわかる。11月3日の朝日新聞によると、ガザで医療支援を行っていた日本人を含む海外派遣スタッフ22人全員が、1日、エジプト側に退避したとのこと。最後の最後まで撤退しない彼らが。でも、パレスチナ人スタッフ300人と約200万人のパレスチナ人は、どこにも逃げることはできない。

改めて今、平和な日本に生まれた幸せを感じる。物価は上がるし、実質収入(我が家は年金)は下がるし、生きていくのに大変な時代だが、でも、今の日本は平和であることは確かだ。この平和を何としても維持していきたいものだ。