武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️懐かしの英語の歌を読む(15)「哀愁のカサブランカ」原曲

 

妻からのリクエスト第二弾。

郷ひろみの『哀愁のカサブランカ』をぜひ原曲と絡めてやってほしい〜」

なかなか面白いかも、ということで調べてみたら、原曲は、 バーティ・ヒギンズ(Bertie Higgins)の「カサブランカ(Casablanca)」だった。もちろんメロディは一緒。さて、郷ひろみの歌とどう違うのだろう?

 

郷ひろみと言えば、1972年(昭和47年)のデビュー曲「男の子女の子」がまず頭に浮かぶ。

♫ 君たち女の子、僕たち男の子
   へイへイヘイ、へへイヘイ・・♫

と歌う郷ひろみ(当時17歳)は、女の子に大人気だった。私はその時15歳だったが、女の子みたいなのに、何でこんなに大騒ぎするんだよ〜、とひがんでいた(笑)

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しかし、その後独特の声を味方にして活躍を拡げていく彼を、私も妻も好きになった。
「マイレディ(1979)」「お嫁サンバ(1981)」「哀愁のカサブランカ(1982)」2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-(1984)」なんか好きだなあ。
そして、なんと言っても、68歳の今でも現役スターとして活躍し続けているなんて凄いことだ。

さて、なぜ郷ひろみがこの歌のカバーを歌うことになったのか?

1982年4月に 米国で「Casablanca」がリリースされた時に、そのテスト盤をニッポン放送の「はた金次郎」というアナウンサーが聴いて、彼は日本でのヒットを確信。そこで自分の『オールナイト・電リク』にて日本語歌詞と適任のアーティストを募集した。結局、訳詞は山川啓介(注)という有名な作詞家が、歌うのは大人に成長した27歳の郷ひろみとなった。
(注)山川啓介は、青い三角定規太陽がくれた季節」、岩崎宏美聖母たちのララバイ」、中村雅俊「ふれあい」、矢沢永吉「時間よ止まれ」など多数、作詞又は訳詩した。

「哀愁のカサブランカ」が生まれたのはこういう経緯だったんだ。何とも面白い話である。

 

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さて、原曲を歌うバーティ・ヒギンズ(Bertie Higgins)は、1944年12月8日生まれの米・フロリダ州出身の歌手。郷ひろみより11歳年上だ。精悍な顔、甘い歌声とソフトな旋律のポップスでAOR(アダルト志向ロック)シンガー・ソングライターとして注目された(そうだ)。「Casablanca」は、1982年4月(彼が38歳の時)にリリースされたものである。

 

まずは、バーティ・ヒギンズの歌う原曲「Casablanca」を聴いてみよう。

⚫︎バーティ・ヒギンズ(Bertie Higgins)「Casablanca」
(英語の歌詞付き)

 

それでは、懐かしの英語の歌を読む(15) スタート!

 

カサブランカ(Casablanca)

A1
I fell in love with you watching Casablanca
カサブランカを観ていて君に恋をした
Back row of the drive-in show in the flickering light
映画のライトが揺らめく ドライブイン・シアターの後ろの列で
Popcorn and cokes beneath the stars
ポップコーンとコークは 星空の下では 
Became champagne and caviar
キャビアシャンパンに変わり
Making love on a long hot summers night
暑く長い夏の夜 二人は愛をかわした

A2
I thought you fell in love with me watching Casablanca
君もカサブランカを観ていて 僕に恋をしたんだ
Holding hands 'neath the paddle fans in Rick's candlelit cafe
ロウソクの灯るリックのお店で  ゆっくりと回るファンの下で手を握り
Hiding in the shadows from the spots
明かりを避けて陰に身を寄せれば
Moroccan moonlight in your eyes
君の目にはモロッコのような月明かりが映って
Making magic at the movies in my old Chevrolet
僕の古びたシボレーの中で 映画が魔法のような時をくれたんだ

B
Oh! A kiss is still a kiss in Casablanca
ああ、カサブランカでもキスはキス
But a kiss is not a kiss without your sigh
でも君のため息がなければ それはキスじゃない
Please come back to me in Casablanca
カサブランカを観たあの時に戻りたい
I love you more and more each day as time goes by
時が経つにつれて 君への思いが毎日募るばかりなんだ

(間奏)

A3
I guess there're many broken hearts in Casablanca
カサブランカには恋にやぶれた人が多いのか
You know I've never really been there
So, I don't know
行った事が無いから僕にはわからないけど
I guess our love story will never be seen on the big wide silver screen
僕らの恋の物語は大きな銀幕に映し出されることはないだろうけど
But it hurt just as bad when I had to watch you go
でも君が去っていくのを見送らなければならなかった時も 同じように辛かった

B
Oh! A kiss is still a kiss in Casablanca
ああ、カサブランカでもキスはキス
But a kiss is not a kiss without your sigh
でも君のため息がなけれぼ それはキスじゃない
Please come back to me in Casablanca
カサブランカを観たあの時に戻りたい
I love you more and more each day as time goes by
時が経つにつれて 君への思いが毎日募るばかりなんだ

B繰返し
I love you more and more each day as time goes by
時が経つにつれて 君への思いが毎日募るばかりなんだ

 

原曲の中に出てくる「Casablanca」とは、1942年の有名な米国映画のことだ。第二次世界大戦中のフランス領モロッコカサブランカを舞台にした、リック(ハンフリー・ボガード)とイルザ(イングリッド・バーグマン恋物語。劇中で流れる「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(As Time Goes By)」の歌詞は、原曲の歌詞の中でも幾つか使われている。

映画「カサブランカ」のシーンと歌詞の内容が絡み合っているので、映画を見たことが無い人は、歌詞の裏の意味が分かりずらいかもしれない。逆に見たことがある人は、この原曲の歌詞が映画のシーンとダブって、なかなか素敵だと感じるのではないだろうか。

⚫︎映画「カサブランカ」のワンシーン
(Casablancaのリックのお店で、パリで別れた2人が再び出会うシーン。「As Time Goes By」が流れる)

 


それでは次に、郷ひろみの「哀愁のカサブランカ」を聴いてみよう!

⚫︎ 郷ひろみ「哀愁のカサブランカ
(歌詞付き)

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さてさて、原曲「Casablanca」と郷ひろみの「哀愁のカサブランカ」をふたつ聴いて、どんな感想を持っただろうか?

私は両曲は、メロディは一緒だが、全く違う曲のように感じた。日本語の訳詩は、原曲のイメージを引き継ぎつつも、新たな二人の哀愁のドラマを創っている。さすが山川啓介だ。郷ひろみの声質もピッタリ合っていて、「哀愁のカサブランカ」の方に軍配が上がるように思う。

でも、バーティ・ヒギンズのムードある声とその歌詞もまたいい。映画「Casablanca」のシーンとダブらせながら聴く原曲は素敵だ。

 

「Casablanca」を録画したDVDが自宅にあったのでまた観てしまった。1942年にこの映画を作ったなんてとても信じられない。ハンフリー・ボガードイングリッド・バーグマンにささやく「君の瞳に乾杯(Here’s looking at you, kid)」
いいなぁ。でも私が言ったら笑われそうだ。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

⚫︎今までの「懐かしの英語の歌を読む」は、
カテゴリー【 ◇英語の歌を読む】にまとめてありますので、よろしければご覧ください。

(1) CARPENTERS『YESTERDAY ONCE MORE』
(2) CARPENTERS 「TOP OF THE WORLD」
(3) Celtic Woman「You Raise Me Up」
(4) Rechard Sanderson 『ラ・ブーム』より
「愛のファンタジー(Reality)」

(5) ABBA 「Dancing Queen
(6) Bob Dylan 「Blowin’ in The Wind (風に吹かれて) 」
(7) Audrey Hepburn「Moon River」
(8,9,10) クリスマスソング 「White Christmas 」「Blue Christmas」「Silent Night」
(11) Air Supply「Lost In Love」
(12,13) Bee Gees『小さな恋のメロディ』から
「Melody Fair」「First of May」
(14)「ダニー・ボーイ(Danny Boy)」
(15)「哀愁のカサブランカ」原曲