武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️明治•大正時代の日本の風景に魅入られて

 

この日(3月30日(月))は、今年初の大学同期との定例飲み会が都心で開かれる日。予定が決まった1月末から、いつものように展示会や美術展の予定を調べてみたが、見事に…無い。無いというより、月曜日は国立・公立だけでなく民間もほとんどが休館日。何でよりによって月曜日に同期会なんだ〜、と嘆いてみても始まらない。

お台場にある「日本科学未来館」は常設展ではあるが開いてはいるのがわかったので、今回はお台場でぶらぶらするつもりでいた。

ところが直前になって、30日に開いている企画展を偶然発見!以前『ルノワール×セザンヌ展』を見に行ったことがある「三菱一号館美術館」である。今『トワイライト、新版画 ―小林清親から川瀬巴水まで』という企画展をやっていることは知っていたが、通常月曜日は休館日なので諦めていた。ところが、3月30日は "トークフリーデー" なので特別に開館するというではないか。なんとラッキー!もちろん直ちに計画を変更した。

f:id:musashino007:20260402152850j:image『トワイライト、新版画 ―小林清親から川瀬巴水まで』。三菱一号館美術館。スミソニアン国立アジア美術館のミュラー・コレクションより。2026年2月19日(木)-5月24日(日)。入館料2,300円

昔、スティーブ・ジョブズが『川瀬巴水』の絵が好きで収集していたと聞いて調べた時から、川瀬巴水の版画は私のお気に入りになった。特に雪景色の絵が素敵だった。

未だ直接見たことが無かったので、30日はとても楽しみに東京駅まで出かけた。(実は、心の中では葛藤があった。「これから切迫するであろう日本のエネルギー事情を考えると、今は見合わせるべきなのかも。でも一人やめても変わらないしな…。よし今日は楽しもう。でもいいのかなぁ…」)


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JR東京駅地下の丸の内改札(中央/南口)から雨に濡れずに三菱一号館美術館まで10分程度で行くことができる

さあ、今日も写真を撮りまくるぞ〜と入場してみたが、係の人に確認したら一部屋を除いて撮影NGとのこと。うーん仕方がない。これはじっくり自分の目に焼き付けるしかない、ということで、2時間たっぷり見て回った。

いやー、疲れたけど良かったなあ。開化絵」では今はもう存在しない日本の明治・大正時代の風景を見ることができてワクワクしたし、「光線図」と呼ばれる小林清親の版画には特に魅入られた。この絵師を私は知らなかったが、江戸時代からの浮世絵とは違う写実性と西洋画的な独特の雰囲気が感じられて、私の心を捉えて離さない。いい絵師に出会うことができた。

明治に入ると写真が流行し始め、浮世絵が衰退してゆく。危機感を持った浮世絵業界は、写真に負けないように進化せざるを得なかった。それが「新版画」。それ故に、写実性を有した小林清親のような絵師が生まれた。

当時の写真はもちろん白黒しかない。そのため「鶏卵紙に手彩色を施した写真」が沢山生まれ、新版画と共に外国人の日本土産になったようだ。どちらも当時のありのままの日本を残してくれたことに感謝だ。

川瀬巴水は浮世絵衰退の流れの中で、その技術を残してくれた絵師。やはりその絵は素晴らしかった。行って良かった。他にも私の知らない色々な絵師にも出会うことができ、一生懸命見て心に焼き付けた。

・・がしかし、人間の記憶というものは儚いものだ。焼き付けたと思っているそばから、「あの素敵な絵は誰のだったかな?どこを描いたんだっけ?」と思い出そうとしても思い出せない。そんな中、展示室を出て「ミュージアムショップ」に入ると、目に入ったのがこの公式図録。甘い誘惑に負けて買ってしまった。


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編著:フランク・フェルテンズ(スミソニアン国立アジア美術館)&野口玲一(三菱一号館美術館)。装丁が独特の和綴じになっていて、見やすい。これで3,080円は安いのかも。青幻舎、2026.2.27発行

展示会の写真撮影がNGだったので、幾ら「図録」を購入したとはいえ、それをそのままたくさん載せるわけにはいかないだろう。でも、雰囲気を味わってもらいたいので、ほんの少しだけご紹介したい。

江戸時代の浮世絵は作られたというイメージがあるが、明治・大正時代の新版画は(もちろん写真も)、まさに本当にその時代にあった姿を写しているので、まるで時間旅行した気分になる。致し方ないことではあるが、日本にもっとこんな風景をたくさん残しておいて欲しかった。
(ギリギリ説明が読める程度の解像度になっています)

 

まずは、「開化絵」

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5. 三代歌川広重|東京名所銀座通りレンガセキ商家繁栄之図(明治7年)
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2. 昇斎一景|東京名所四十八景霞かせき(明治1年)
3. 三代歌川広重|東京名勝清涼 御堀端日比谷の景(明治5年)
4. 三代歌川広重|東京名所 従日本橋北之通瓦斯灯夜之景(明治6年)

 

次に、「鶏卵紙に彩色した写真」

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52. 日下部金兵衛|東海道、沼川からの富士山(安政7-明治33年)
53. 日下部金兵衛|横浜、本町通り(明治23年)
54. 日下部金兵衛|堀田家の庭園、東京(向島七松園)(明治3-12年)
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75. 作者不詳|瀬戸物屋 76. 〃|古着屋 77. 〃|屋台のそば屋(いずれも明治13-22年)
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82. 作者不詳|東京、銀座(明治3-12年)
85. 作者不詳|亀戸の藤(明治23-32年)


新しく出会った、「小林清親」

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10. 小林清親|東京新大橋雨中図(明治9年)
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11. 小林清親|海運橋(第一銀行雪中)(明治9年)f:id:musashino007:20260403141758j:image
15. 小林清親|川口鍋釡製造図(明治12年)
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24. 小林清親|大川岸一之橋遠景(明治13年)
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29. 小林清親|新橋ステンション(明治14年)

 

最後に、会いたかった「川瀬巴水」

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127. 川瀬巴水|旅みやげ第一集 秋の越路(大正9年)
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137. 川瀬巴水|東京十二題 木場の夕暮(大正9年)
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138. 川瀬巴水|東京十二題 雪に暮る寺島村(大正9年)
139. 川瀬巴水|東京十二題 戸山の原(大正9年)
140. 川瀬巴水|東京十二題 春のあたご山(大正10年)

 

他にも、井上安治、チャールズ・W・バートレット、高松松亭、伊藤深水、吉田博などの作品を見ることができる。絶対見て損は無い展示会だと思う。5月24日(日)まで三菱一号館美術館で開催されているので、機会があれば是非どうぞ。

 

さて、展示会を観た後は、東京駅界隈のカフェで美味しいランチを、な〜んて考えていたが、図録購入という予定外の出費のため、急遽、コンビニランチに変更。美術館中庭のベンチに座って、鳩さんとお話ししながらお昼にした。


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この鳩さん、何か貰えると思ってか私の周りをウロウロと歩き回る。「ごめんね〜、あげられないんだよ〜」と話していたら、私の手元から小さなパンくずがベンチの上にポトリと落ちた。落ちたものは仕方がない。食べられるように地面にそっと落としてみた。でも鳩さんは気づかない。だから、気づくように足を動かしたらようやく見つけたらしく近づいてきた。そして、私の目をじっと見て、「いいの? ほんとにくれるの?」と言っている(笑)。可愛かったなぁ、その眼差し。

食べた後もまたくれると思ってウロウロしていたが、しばらくして別のところに行ってしまった。

 

ランチが終わった時点で12時半過ぎ。当初の予定では、東京駅界隈でランチを食べ、お土産の買い物をしてから、日本橋三越本店で開催中の『第81回春の院展』を見る予定にしていた。

しかし、もう歩き疲れてしまった。歳かなぁ。そこで、院展はパスして、東京駅の「大丸東京店」に我が家へのお土産のお菓子を買いに行くことにした。

天気が良かったので、地上を歩いて大丸のある八重洲口に向かったのだが、東京駅は何度も来ているのに初めての景色ばかり。(注:東京駅の西側が丸の内、東側が八重洲です)そうか、八重洲側の地上を歩いたのは初めてだったんだ。もう40年以上東京圏にいてもこんなもんだ(笑)。


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(左)YAESU2029(八重洲二丁目中地区再開発事業)が工事中。43階建て複合施設で、2029年1月に完成予定
(右)東京駅JR高速バスターミナルのバス乗り場。大勢の外国人観光客が並んでいた。ちなみに写真右9番は、静岡・浜松・名古屋、京都・大阪方面など

 

大丸東京店」の洋菓子店は一見混んでいないように見えたが、案内係の人に連れて行かれた最後尾は、店内から出た先の通路にあった😅。待ち時間は20-30分くらいとのこと。外出先で並んで買うなんて初めてだったが、何とか20分で購入できた。人気のお菓子ようだがどんな味だろう。留守番の妻は喜んでくれるかな〜😊


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(左)大丸1階のフロアマップ (右)店先は混んでいないように見えるが、少なくとも30人は並んでいたかな

今晩の懇親会場は、JR総武線の両国駅近くのお店だ。「院展」をパスしたのでだいぶ時間は早いが、とりあえず両国駅に向かうことにした。


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(左)隅田川の両国橋鉄橋を渡ると… (右)JR両国駅西口

両国駅に降り立ったのは、何年ぶりだろう。大昔『江戸東京博物館』を訪問して以来か。17時始まりの懇親会にはまだまだ余裕があったので、近くをぶらぶら散策することにした。

 

まずは『江戸東京博物館』に向かった。同期会の場所が両国だと決まった時に、まず頭に浮かんだのはこの博物館。2022年4月から大規模改修のため長期休館していたこの博物館が、約4年の歳月を経て、今年3月末にリニューアルオープンすると聞いていたからだ。しかし、調べてみたら何とオープンする日は同期会の翌日の3月31日!ショックだったが、仕方がない。


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満開の桜を抜けるとオープン前日の江戸東京博物館が見えた。よりによって明日オープンとはなぁ…。悔しさを胸に心に誓った(大袈裟な)。「絶対ここに戻って来るからね。待っててくれ!」

 

次に向かったのは、『旧安田庭園』。西門から入った。


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【東京都墨田区】
この庭園は、元禄4年(1701年)常陸笠間藩五万石の藩主、本庄因幡守宗資が築造した庭園。中央に「心」字をかたどり、隅田川の水を引き入れた池を配し、潮の干満によって変化する景観を楽しむ、いわゆる潮入り池泉廻遊式庭園(現在は、人工的に潮入りを再現している)。

明治24年(1891年)には、安田財閥の創始者初代安田善次郎の所有となり、安田翁の逝去後、家屋及び庭園は大正11年(1922年)、東京市(今の東京都)に寄付された。昭和42年(1967年)、東京都から墨田区に移管されたのを機に、全面的な改修工事を行い、昭和46年(1971年)に名園といわれた往時の姿に復元された。

西門を抜けて進むと、目の前が急に開けて、素晴らしい廻遊式庭園の「心字池」が迫ってきた。そしてビルの向こうには、「東京スカイツリー」が青空に映えてくっきりと見えるではないか。

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ここは絶好のカメラスポットだ。私の前に数人の外国人の観光客がいて、実はこの写真を撮るのに5分ほど待つほどだった。

心字池の周りでは、ゆっくり座ってくつろいでいる外国人観光客が多く、その目の前を、鴨がゆったりと泳いでゆく姿が可愛かったな。


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(右)倒れているように見えて根を張って生きている!


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(左)池の向こうに見える建物は「刀剣博物館」

時間がたっぷりあったので、私はベンチに座って持参した小説を読みながら、心地よいひと時を過ごした。一日中曇りの予報が外れて良かった。


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(左)「潮入」とは、隅田川から水を引き込み、潮の干満によって池の水位を上下させ、それとともに見え隠れする岩や護岸、浮沈する島等の景観変化を楽しむための技法。右側に見える水門は、潮入池の水位調整のために造られたもの

 

さて、旧安田庭園でゆったりしていたら陽が傾いてきたので、「-両国-江戸NOREN」に移動して水分補給。観光案内所でパンフレットを貰ったりしてから会場に向かった。

今年初めての同期会は、いつものメンバーでお互いの近況やたわいのない話をしながら、楽しい時間を過ごすことができた。


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一人が手術で近々入院するとのことで、次回は8月くらいになるかもしれない。それほど難しいものではないとのことだが、やはり心配だ。無事終わって欲しい。そしてまた皆んなでワイワイやりたいものだ。

(・・がしかし、中東情勢がとてつもなく厳しいので、難しいかもしれない。物価が急騰し全てが不足(or在庫切れ)してくるので、全国的な大節電やリモートワーク、不要不急の外出自粛もあり得る。雨が降らないので給水制限もあるかな。そうなったらコロナの時のようにリモート懇親会にするか…)

f:id:musashino007:20260410133714j:image「-両国-江戸NOREN」の観光案内で貰った両国駅周辺マップ。赤丸が旧安田庭園、🍻が懇親会の場所

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。