ギターの場合は「フレット(fret)」という金属の棒が付いているので、調弦さえうまくやれば、簡単に綺麗な音を出すことができる。だが、ヴァイオリンにはそれは無いので、初心者には正確な音程を出すのは難しい。正しい音を出すためには、正しい指のポジションを毎回同じようにすばやく押さえることが必要なのだが、そう簡単にはいかない。それは練習で感覚を身につけるしかない。
弦を押さえる左手の指番号はギターと同じで、こう定義されている。
では、ギターのようなフレットのないヴァイオリンでは、指板の弦をどう押さえればどういう音が出るのだろうか?
ヴァイオリンの指板での指の置き方を示したものが下図である。図の中で、開放弦のところから第1指①までは約3.5cm、第3指③までは約8cmであり、初心者は幅の狭いテープを貼って「しるし」をつけて練習すると良い、と書いてある教本もあるが、貼らずにそのまま練習することにした。ギターの場合、ドレミファソラシドを何度も繰り返して練習し弾けるようにしたものだが、ヴァイオリンではボウイングしながら指の位置を正確に押さえなければならないのでさらに面倒だ。
指の置き方を見ると、それぞれの弦で、半音の部分があり、いずれも間隔が狭い(オレンジ色の線)。ピアノの鍵盤で見てみると、「ミ・ファ」と「シ・ド」の間には黒鍵が無く、半音であることがよくわかる。
ヴァイオリンでは、半音は指を軽くくっつけて押さえ、全音はだいたい指1本分の間隔を空けて押えるイメージのようだ。ギターではフレット幅が1つで半音、2つで全音だから、感覚的には同じ気がする。
また、ネックを支える左手の位置(ポジション)が第1ポジションから第4ポジション以上まであり、曲の音の高さに合わせてポジション移動を行う。下図に第2、第3ポジションの指の位置もあるが、ギターで言えば人差し指で6弦全部押さえて移調するのと考え方は同じなので、理屈はわかるが、ギターより格段に難しそうだ。
とはいえ、まずは、当たり前だが、第1ポジション(ファーストポジション)の音階を正確に弾く練習から始めている。
教本によって弾き方の最初の練習アプローチが若干異なる。下記の❶と❷❸のように使う楽譜からして異なるので、超初心者にはなかなか判断が難しいところだ。
❶「初心者のヴァイオリン基礎教本(自由現代社)」
・4本の弦それぞれで、上図の音程で調を変えることのない楽譜を用いて練習。下記は第2弦(A)の練習楽譜例。
❷「1人で学べる初心者のためのバイオリン入門(YAMAHA)」
・それぞれの弦の開放弦を主音(ド)として1オクターブ(全音•全音•半音•全音•全音•全音•半音)を弾く練習とその調の楽譜を用いて練習。下図が第2弦(A線)イ長調での楽譜例だ。
・第2弦(A線):イ長調(A-Dur)
・第3弦(D線):ニ長調(D-Dur)
・第4弦(G線):ト長調(G-Dur)
❸「ヴァイオリンを弾こう!「弾いてみたい」を応援する本(銀の鈴社)」→❷と同じ
❷❸ではいきなり♯3つのイ長調のグラフでの練習となり慣れないと一見難しそうだが、単純に開放弦から1オクターブ弾けばいいだけと考えれば逆に簡単かもしれない。
ただ、どちらにしてもやることはほぼ一緒なので、まずは、わかりやすい❶で4本の指を使って正確に音程を出せるように簡単な楽譜を使って繰り返して練習している。
【参考】音階と調
ギターではコード進行を覚えれば大抵の曲は伴奏できるようになる。有名なカノンコードならば、「C→G→Am→Em→F→C→F→G」というコード並びの和音だ。これはドが主音のハ長調だが、キーを変えることで変調することができる。
ヴァイオリンでも開放弦を主音としてイ長調、ニ長調、ト長調と変わるし、教本上の楽譜に色々な調号の楽譜もあるので、今後のために、初心者として基本だけ整理をしてみた。
まずは音名から。なぜドの音がイやAから始まらないか?11世紀中世ヨーロッパで普通の男性の出せる最低音は低いソで、その最低音の1つ上のラの音から順番にABCと名前を付けていったのだとか。ということで、ドレミファソラシドはハニホヘトイロハであり、CDEFGAHCである。ということで、ヴァイオリンの開放弦「ラ」の音は「A(アー)」であり「イ」である。
さて、楽譜に出てくるト音記号とヘ音記号だが、その間にあるハ音記号とは下図右のような関係となっている。
最後に、長調の音階と調号であるが、主音をド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シと上げるに伴って下記のような音階と調号となる。
◆ヴァイオリン練習の過去の記事