武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️宇宙への夢「SLIMとアポロ」


最近は、月面着陸や新型ロケット打上げなどの宇宙関連ニュースが多くて、宇宙大好き人間の私としては、ドキドキ・ワクワク。もし「宇宙ブギウギ♪」なんてものがあれば、歌って踊りたいくらい、心躍る日々が続いている。

最近では、4月21日(日)開催の「JAXA調布航空宇宙センター一般公開2024」に2人分事前に申し込んだ。 6,000人を超えたら抽選とのことだったが、当然行けるものとワクワクして待っていた。ところが、なんと見事落選!そんなに希望者がいたんだと、びっくり&がっかり。また来年チャレンジだ。p(^_^)q

⚫︎調布航空宇宙センター研究活動紹介ビデオ
空へ、宇宙へ、そして未来へ JAXA調布航空宇宙センター - YouTube

さて、今年最初のドキドキは、もちろん1月20日JAXA宇宙航空研究開発機構:ジャクサ)の探査機「SLIM(小型月着陸実証機)」 の月面着陸ライブ配信の時である。

「SLIM」の月面着陸ライブ配信

昨年(2023年)5月26日に、日本の宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」の月面着陸が失敗していたので、今度のSLIMはどうなるかと心配していた。

日本初の月面着陸なので、テレビで生中継かと思いきや、TV番組表のどこにも無い。今日くらいは日本の子供たちに夢を見せてあげればいいのに、だから日本では科学に興味のある子供が減っていくんだ、とブツクサ文句を言いながらJAXAのホームページを調べてみたら、YouTubeJAXAチャンネルでライブ配信をすると書いてあったので一安心。というか、最近はネットのライブ配信が当たり前のようで、私の方が遅れていたのだ。結局、MacBookiPhoneの画面を前日の23時から翌日の朝方まで見つめることとなった。

月面着陸のライブ配信って言ったら、エンジン噴射で月面の砂を吹き飛ばしながら着陸する様子が当然の如く生で見られるのかと思っていたが、あにはからんや、特殊QL画面(QL=Quick Look)という名前のテレメトリー(SLIMから送られてくる各種データ)画面が表示されているだけだった。管制センターのオペレーターも同じ画面を見ているとのこと。まるでシミュレーションゲームをしているような画面で、最初はがっかりしたものの、解説を聞いて画面の意味がわかるにつれ、これはこれで面白そうだとライブ配信を見守った。下のような画面である。各テレメトリーの数値の意味を画面上に書き込んでみた。小さ過ぎて拡大しないとわからないけど💦

f:id:musashino007:20240406145010j:image高度6kmくらいを垂直降下中のQL画面。メインエンジン、補助スラスタを盛んに噴射しているのがわかる。

f:id:musashino007:20240406145100j:image着陸時のQL画面。バッテリー残量はまだ77%(右上)もある。このことが後々役に立つのだ。

ご覧になっていた方はお分かりと思うが、0時20分頃に無事着陸した!・・ように見えたので、深夜ではあったが思わず拍手(小さめに👏)した、が、そこからどうも様子がおかしい。1時間経っても「しばらくお待ちください」ばかり。


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左が着陸直後の期待半分状態のチャット。右がだいぶ経って諦めの境地になってきた頃のチャット。ログイン者数も28万から6.7万に減っている。

こりゃ失敗かな、と待っていると、2時間近く経った2時10分に記者会見が始まった。

f:id:musashino007:20240331145306j:image とても月面着陸成功!という雰囲気ではない。右から、山川JAXA理事長、國中宇宙科学研究所所長、藤本宇宙科学研究所副所長

ところがJAXAの記者会見に出席している3人全員の顔が強張っているではないか。やっぱり失敗したか〜と思っていたら、そうではなかった。でも、なんか微妙な感じ。

どういうことかと言うと、「SLIMは月面に着陸したことを確認し、地球との通信も確立している。がしかし、太陽電池の発電が出来ていない。現在、探査機の中のデータ取得の努力をしており、分析には時間がかかるのでしばらくお待ちください」とのことだった。喜んでいいのかわからないまま、結局詳細がわかるまで、5日も待つことになってしまった。

【参考】SLIM月面着陸ライブ・記者会見(1月19日23時〜1月20日3時50分)
(1月19日23時ライブ開始。計4時間51分。着陸時点では24万人が視聴していた。初めの1時間はSLIMプロジェクトの解説、1:02:00 QL画面の解説、1:05:00 QL画面による中継開始、1:20:45高度6km、1:20:58新画面に変化、1:24:15高度50m、1:25:10着陸、(2時間近く待たされる)、3:17:35記者会見)

 

「SLIM」月面着陸の結果は?

5日後の1月25日の記者会見でようやく状況がわかった。これも生配信で見ていたが、その時の出席者の顔は5日前よりはだいぶ明るくなっていた(笑)

f:id:musashino007:20240407064406j:image会見が終わってフラッシュを浴びる出席者たち。

会見時にJAXAが発表した着陸結果・成果は、新聞やテレビで大々的に報道されたので、改めて説明する必要もないが、やはり、この写真だけは載せておきたい。これは歴史に残る写真だと思う。

f:id:musashino007:20240407064529j:imageSLIMはメインエンジン1機が失われたが、何とか逆さまになって着陸した。逆さまだと太陽電池パネルの向きが太陽に向いておらず、充電出来なかったようだ。 でもその後「月の夜」を生き延びて「越夜」に3回も成功した(まだ生存中!)のは、すごい!

なんだかんだ言っても、さすがはJAXA。これで月面着陸成功は、ソ連アメリカ、中国、インドに続いて5ヶ国目となった。 着陸精度も素晴らしいもので、これは凄いことだ。最近は、日本の技術力・国際競争力低下に大いに悔しい思いをしていたので、久々にスカッとした思いだった。

今回のSLIMの技術的な結果・成果の内容については、JAXAがたくさん情報を発信しているので、興味のある方は、是非、下記を覗いて下さい。

⚫︎SLIM及び小型プローブ(LEV)の月面着陸の結果・成果等の記者会見(1月25日14時〜15時半)

⚫︎小型月着陸実証機(SLIM)、超小型月面探査ローバ(LEV-1)、及び変形型月面ロボット(LEV-2)の月面着陸結果について(PDF資料)(2月26日)
(SLIMプロジェクト全体と今回の成果を知るには、一番まとまった資料だと思う)
https://www.mext.go.jp/content/20240226-mxt_uchukai01-000034190_1.pdf

 

アポロ11号」のテレビ生中継

今回のSLIMの月面着陸を見ながら、私は半世紀以上も前の1969年(昭和44年)、米国NASAアポロ11号による人類初めての月面着陸を思い出していた。

私がまだ小学校の6年生だった、昭和44年7月21日(月曜日)のことである。月面に最初の一歩を踏み下ろす場面は、全世界に向けてテレビ生中継された。ちょうどお昼頃だ。担任が理科の先生だったからか、理科実験室の白黒テレビの前に座って、みんなで月着陸船「イーグル号」から降り立つシーンを、今か今かと待っていたのだ。月面作業の中継時の平均視聴率は、何と82%に達したそうだ。紅白歌合戦の最高視聴率でさえ57.2%だから、いかに多くの日本人が見ていたかわかる。

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アポロ月着陸船「イーグル」号は、7月21日5時17分(JST)に月面着陸に成功。そして、11時56分20秒(JST)、ニール・アームストロング船長が人類最初の人物として月面に降り立った。アームストロング船長の「That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である)」は有名だ。

忘れてはいけないのは、2番目に降り立った、月着陸船操縦士のバズ・オルドリンと、月周回軌道上で一人で司令船「コロンビア」号を飛行させた司令船操縦士マイケル・コリンズ。それに、テキサス州ヒューストンにあるNASAジョンソン宇宙センターのオペレーター達。特に、プロジェクト全体をテキパキと指揮していた、フライトディレクターのジーン・クランツ氏は、とにかく格好良くて憧れた。

ここまで書いてきたが、実は当時テレビを見ながらきちんと理解していたわけではない。55年前のテレビの映像は、上の写真のようなカラーの綺麗な画像ではなかったのだ。白黒テレビで見た映像は、こんな感じだった。

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最初に載せたカラーの綺麗な写真と全然違うのがわかると思うが、当時のテレビに流れていたのは、よ〜く見ても「これなんだ?」という映像だった。だから本当のことを言うと、いつ降りたのかもよくわからなかったのが事実である。

それでも興奮した。だって、あの「月🌖」で今人類が歩いているのだから。


当日の新聞のスクラップが手元にある。信濃毎日新聞の7月21日夕刊記事である。

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SFドラマやSF漫画が好きだったこともあり、私は小さい頃から宇宙やロケットの話が大好きだった。小学5年生だった1968年(昭和43年)は、特に米国NASAアポロ計画の記事が新聞に盛んに載るので、私は「科学史」と名付けた新聞のスクラップブックを作りはじめた。


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最初のスクラップは、アポロ8号が宇宙から初めて送ってきた写真の記事だった。表紙にNo.1と書いてあるが、残念ながら、科学史スクラップブックはこの一冊でおしまい。続かないのが私の性分だ。


この頃の日本国産のロケットはまだペンシルロケット。打上げの時も、アポロのサターンロケットは重厚に徐々に上がって行くのに対して、ペンシルロケットは、発射とともに、ビューンと飛んでいくので、情けなかった記憶がある。国産衛星が初めて人工衛星軌道に乗ったのは、アポロ11号月面着陸から7ヶ月後の1970年(昭和45年)2月12日。日の丸衛星の名前は「おおすみ」、ロケットは東大宇宙航空研究所のラムダ4S型である。ただし、予定軌道とは大幅に違い、また翌日には送信能力を失ってしまった。

おおすみ」から54年経って、ようやく日本も月面まで到達したかと感慨に耽りたいところではあるが、まだまだ世界の主要国とは歴然とした差があるのは否めない。

それでも、JAXAの記者会見のエンジニアの話を聞いていると、みんな全力で頑張っていることがよくわかる。少ない予算の中で、限界まで必死で頑張って、その結果今回の成功に導いたことは、大いに評価してあげたい。褒めてあげたい。

JAXAと関連機関/企業の皆さん、日本初めての月着陸の夢を叶えてくれてありがとうございました。これからも応援しますので、是非、新たな目標に向けて、頑張ってください!

 

アポロ11号についてYouTubeを検索してみた中で、面白かったものを3つ紹介します。

⚫︎アポロ11号月面着陸50年(朝日新聞デジタル(着陸の場面は当時のイメージと同じ白黒映像。2分9秒。0:40月面に降り立つ)

⚫︎20世紀の記録「月への挑戦/人類の偉大な一歩」(JAXA
JAXA企画編集。28分59秒。13:50アポロ11号打上げ、15:08月面降下、16:05月面に降り立つ)

⚫︎アポロ計画「失われた映像」(ディスカバリーチャンネル
NASAの協力でアポロ11号の知られざる裏側を見せる2019年制作の番組。1時間28分21秒。とても面白い!)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。