名作絵本『スヌーピーの しあわせは・・・あったかい子犬(HAPPINESS IS A WARM PUPPY)』を読んだ。もちろん、スヌーピーの生みの親、チャールズ・モンロー・シュルツが書いている。
1962年アメリカで発売。1979年にフルカラーバージョン、日本語版が2005年6月発売。谷川俊太郎訳。角川SSコミュニケーションズ出版
この絵本には、ピーナッツ(PEANUTS)の漫画に出てくるキャラクター(スヌーピー、ウッドストック、チャーリー・ブラウン、ルーシー他)たちの、日常の62個の何気ない「しあわせ」が綴ってある。
いくつかめくって見てみよう。
「しあわせは あったかい子犬。」
「しあわせは 雨がさと新しいレインコート。」
「しあわせは 自分のベッドで眠ること。」
「しあわせは それぞれに好きなもの。」
この本は、あっという間に読むこともできるけれど、やっぱり、一枚一枚絵をよく見ながら、キャラクターの気持ちになりきって読むほうがいい。そうすると、子どもたちの世界には、しあわせが星のようにあるんだなとわかる。そして、大人だって、そんな気持ちで日常を眺めれば、しあわせはあちこちにあるのだ。
自分にとって、しあわせって何だろう?どんな時にしあわせを感じたのだろう?
大学生の頃、帰省のため夜汽車に乗っていると、車窓から家々に灯りがともっているのがたくさん見えた。
あのウチでは、お母さんが夕食の準備をしていて、子供たちはお父さんが帰ってくるのをまだかまだかと待っているのかな。ガラガラ。玄関が開くと、おかえりなさーい!と駆け寄る子供たち。お父さんは、帰りに買った、うーん何かな、そうだ、クリスマスケーキだ。ほれっ、と渡すと、子供たちは大喜び。・・そんな想像の世界を楽しんだ。
当時頭の中で想像していた物語は、もちろん覚えているわけはない。ただ、流れてゆく灯りを見ながら、その中に温もりを感じた。一つ一つのあの灯りの中に、家族がいて、そこにいる一人一人が、希望や悩みを抱えながら生活しているんだ、生きているんだなと、そんな当たり前のことに感動したことを思い出す。
しあわせは 「お帰りなさい」と玄関で迎えてくれる妻の笑顔
独身時代は深夜に帰宅しても、当然家の中は真っ暗だ。でも、それが当たり前の毎日だから、特に寂しいとは感じていなかった。
ところが、結婚してからは、いくら夜遅く家に帰っても、灯りがともっている。待っている人がいるって、こんなに幸せなんだと感激したものだ。夜汽車から見たあの灯りの中の家族になったのだ。
当時は寿退職が当たり前だった。共働きが当たり前の今の時代では、また違った灯りの中の幸せがあるのだろう。
しあわせは 給料日だけの月いちレストラン
結婚と同時に、私は給料袋(当時は現金が給与明細と共に袋に入っていた)を妻に渡し、家計は妻がきちんと管理してくれた。小遣いは妻から毎月現金でもらった。
結婚当初の給料はとても少なくて、妻は苦労したと思う。近くの個人商店で安く買い物をして、朝はトーストに目玉焼きとかはんぺんのバター焼きとか。朝起きると狭い台所でエプロンをつけて朝ごはんを作っている妻がいて幸せを感じたものだ。
贅沢なんてとてもする余裕は無かったが、それでも二人で決めたことがある。それは「給料日の時だけは、二人で食事に行こう!」
色々なお店を探して出掛けた。妻の喜ぶ顔を見るのが幸せだった。一番初めに出かけたのが、以前ブログにも書いたが、銀座木村屋本店のフレンチレストラン(アーブルヴィラージュ)だ。フレンチのコースと言っても、恐る恐るメニュー表を見て、一番安いのを頼んだ。でも木村屋ではお店の人が優しく迎えてくれて、素敵な思い出のディナーになった。子供が生まれてからは、なかなか難しくてやめてしまったが、月いちレストラン、楽しかったなあ。
新婚時代から現在までの小さなしあわせを書き出してみたら、数え切れないくらいあって、驚きだった。しあわせとはなんだ?と考えるまでもなく、こんなにもしあわせに囲まれて生きてきたのに、あーだこーだ文句を言ったら、神様に叱られる。
妻のブログ「笑顔が教えてくれるもの」の中でも紹介していた、渡部陽一著の「晴れ、そしてミサイル」の中に、こう書いてあった。
戦場や紛争地帯で出会った方たちに、僕がよく聞く質問があります。
「幸せとは何でしょうか?」
すると多くの方から、「やりたいことを自由に選べること」という答えが返ってきます。
つまり、戦場ではやりたいことを自由に選べないのです。やりたいことといっても、日本で暮らしていれば当たり前に、したいと思ったらできることばかり。好きな食べ物を食べる。家族で一緒に暮らす。学校に行く。休日に遊びに行く。その程度の選択の自由がない。
(略)
平和とは、やりたいことを自由にやれること。ひとがそれぞれ自由に選ぶことができる「選択肢」があることです。
しあわせは 毎日平和で過ごせていること
この絵本を読むことで、日常の中にしあわせが満ち満ちていること、そして、平和な日本では普通に日常を送れること、やろうと思ったら自由にやれること、それがいかにしあわせなのか、改めて気付かされた気がする。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。