武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️『チャイナフリー "中国製品なしの1年間" 』を読んで


「国消国産」を目指そう!という記事を9月6日にアップしたが、その際に「そうは言っても、いずれも1個人としては如何ともしがたい。個人や家庭で出来ることはないだろうか?」と書いた。今回はその話である。

musashino007.hatenablog.com

 

米国一家のチャイナフリー

地政学リスクについて調べていた時に、『チャイナフリー "中国製品なしの1年間"』という興味をそそる名前の本を見つけた。米国のサラ・ボンジョルニという経済ジャーナリストが、夫と1歳、4歳の子供たちの4人家族で、2005年に1年間、中国製品ボイコット実験を行ったノンフィクション奮闘記だ。

f:id:musashino007:20230905090800j:image2008年7月、東洋経済新聞社発行

なぜ、そんな実験をやろうと思ったか、著者はこう書いている。

「200万人ものアメリカ人が中国との競争で失業したが、それでもなお私たちは中国が製造し販売するものを必要とし、中国がわが家を占拠しようとしている。(略)
2005年1月1日、私たち一家は1年間の中国製品ボイコットを始めた。世界で最も速く成長している経済大国(中国)の製品なしにやっていくだけの強い意志と想像力が備わっているのか、そして、本当にやり遂げられるのか、私たち自身が知りたかったのだ。

中国製品であふれたクリスマスプレゼントの残骸を見ながら、12月末にふと思いついたこの実験。それから1年間、毎日の買い物がすべてスリル満点の大冒険。電気製品が故障しても買い換えることもできず、人形、ぬいぐるみ、おもちゃ、ゲームソフト、祝祭日の飾りつけ用品、誕生日のローソク、電球、工具、サングラス、テニスシューズ、バッグ、洋服など、挙げればキリがないが、中国製ばかりの米国で、一家の買い物はとても骨の折れる試練になった。

今から18年前の米国の話だが、その頃でもこんなにアメリカ国内に中国製品が浸透していたとは、想像していなかった。
とんでもない苦労やドタバタを繰り返しつつ、なんとか1年間を終えたが、実験後はどうしたのか?これだけ大変だったので、もうやめるかと思いきや、「中国製品を100%永久に絶って暮らすことは無理だが、ある程度の受け入れは許容すれば何とか暮らせる」、つまり「出来るだけ中国製品に代わるものを探すが、それしか現実的な選択肢がない時は中国製品を選ぶ」という原則で続けている。

一年間のチャイナフリー実験の成果としては、「何気なく」手にとって「安いから」という理由ですぐに買うのではなく、「本当に自分の生活に必要なのか、中国製以外のものはないか」と色々と考えて買うようになったことだそうだ。多少高くても本当に必要なものを選んで買うことになるので、結果的には経済的だという。

 

我が家の"プチ"チャイナフリー
実は、我が家でもボンジョルニ氏一家ほど厳密ではないが、一家が実験後に決めた原則と同じような「プチチャイナフリー」の生活を、ここ2〜3年間送っている。日本の農家などの生産者を応援する気持ちからだ。だからこの本を読んで、アメリカで既に18年前に実践した家族がいたことに驚いた。我が家には今は小さな子供はいないので、彼らより楽だとは思うが、中国製品を買わないというのは、今の日本では現実的にかなり難しい。

「食」では、鶏肉や豚肉は「国産」だけを買っている。しかし、惣菜や弁当では選択肢がほとんどない。安い惣菜や弁当の鶏肉や野菜はほぼ全て中国産だ。レストランの料理でも、都会では国産と謳っていない限りは多分中国産だろう。だから、スーパーで国産選びを頑張っていても、何だか虚しい感じではある。
国産比率を高めるために、もっと日本中で「米」を活用したらどうかと思っているのは私たち夫婦だけだろうか。地政学リスクの結果、小麦が高くなると、様々な食品が高くなるのだ。日本なのだから、お米を使った、パン、うどん、ラーメン、パスタ、ケーキなどの商品がもっと増えたら、と思っている。

「衣」ではここ2年くらいはコロナのせいで外出が減ったのもあり、今ある服で何とか間に合わせている。下着や靴下は消耗品なので、中国製しかないが、買わざるをえない。日本や欧米のブランド名が付いていても、全て中国製だ。日本だけの問題ではないことがわかる。「日本製」はなかなか見つからないが、懸命に探して何とか見つけた時は嬉しい。ごくたまに、ベトナム製やミャンマーを見つけた場合も、喜んで買う。ボンジョルニ氏一家と同じだ。

やっていて思ったのは、出来るだけ国産を選ぼう!という「強い意志」がないと続けられないことだ。私たち夫婦が頑張ったところで、微々たるものというより何も変わらないだろうが、我が家としては、この服安いから買っちゃおうか、という安易な無駄な買い物はしなくなったのは大きな成果ではないかと思っている。

「住」では、コロナ禍の中でリモートワークで必要なデスクチェアを購入。腰を痛めない自分に合う椅子を探し歩き、安い椅子は中国製が多かったが、結局、座りやすく長く使えそうだった日本製を購入した。ただし、座面カバーは中国製である。ダイニングチェアもだいぶ痛んできたので、通販で探した結果、座り心地のいい日本製を買った。ニトリあたりだと安いが中国製が多い。値段は少し高くなるが、家具類は日本製を選んだ方が、性能・品質共に安心でお勧めである。

「電気•電子機器」では、全滅だった。デスクチェアと同様に、リモートワークに必須の大画面PCディスプレイ。これは米国製を購入したが、裏には「Made In China」の文字が・・。Bluetoothキーボード、イヤホン、マウス等も全部中国製。仕事上急ぐし必要不可欠なので、国産は諦めざるを得ない。また、動脈血酸素飽和度を測定する「パルスオキシメータ」も日本の会社名でありながら、製造場所は中国の深圳(シンセン)だった。
一部壊れているプリンター、画面の色と音声が時々おかしくなる液晶テレビ、CDが取り出せなくなったCDラジカセなど、買い替えたいと思っているのだが、だいぶ苦労するに違いない。というより、現時点では国産は無理かもしれない。

新婚の時に買った「Made In Japan」の家電製品は、30年経っても故障しなかったが、買い替えた「Made In China(日本ブランド)」は、10年も持たずに故障した。昔は今より寿命が長かったと思うのは私たちだけだろうか。やっぱり、できれば日本国内で作った日本製品が欲しい。


最近は、ロシア・ウクライナ戦争が終結する見込みが立たないだけでなく、台湾有事が現実になりかねない状況だ。もし実際に起きたら、中国は経済封鎖となり、中国との輸出入は全て止まらざるを得ない。台湾には半導体売上高世界一のTSMCがあり、当面交易が出来なくなったら、日本のみならず全世界への影響は凄まじいだろう。想像してみよう台湾有事は他人事ではなく日本、そして私たちの問題でもある。その時が来たら日本は、日本人はどうするつもりだろう。今、何を準備しておくべきだろうか。

世界は「グルーバルサプライチェーン」で繋がっていて、全て「国消国産」は不可能だ。だが、その日を迎えてしまう前に、なるべく早く、国として「国消国産」を出来うる限り進め、少しでもショックに耐えられるような日本になって欲しい。

一消費者としては、「国産」をなるべく買おう!運動しか出来ないが、この運動が日本中に広まって、国内の様々な生産者が勇気づけられ、生産者も会社も雇用も増え、いざという時にも、自信を持って行動できる国になれればいいなあと願っている。