武蔵野つれづれ草

リタイア後を楽しく!と始めた凸凹夫婦の面白ブログ。見たこと、感じたこと、残したいことをつづります。

🙋‍♂️ 「国消国産」を目指そう!


「国消国産」はJAのキャンペーンだが、「食」だけではなく「衣食住」全般で「国消国産」が出来るような日本になりたいものだ。

JA「国消国産」キャンペーン
先月、JAグループの「国消国産」というキャンペーン広告が、新聞1ページを使って掲載された。お恥ずかしい話だが、「国消国産」という言葉を知らなかった。新聞には、こう書かれていた。

f:id:musashino007:20230903144937j:imageJA「国消国産」キャンペーン新聞広告

「現在の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%。約6割を輸入に頼っています。農家の減少や高齢化などにより、食料を生産する力が弱まっています。さらに、激変する世界情勢や円安などにより、農業生産に必要な資材の価格は、約3年前と比べて約1.5倍に高騰しています。一方で、現在の世界人口は約79億人ですが、2050年には97億人まで増加すると言われています。もっと日本の農家が少なくなり、海外からの輸入も制限されてしまったら……私たちが食べるものはなくなってしまうかもしれません。
JAグループは「私たちの国で生産した食べものを、この国で消費する」だけでは現状を変えられないと考え、「私たちの『国』で『消』費する食べものは、できるだけこの『国』で生『産』する」という考え方である『国消国産』を提起しています。」

調べてみたら、地方自治体では、数年前から、従来の地産地消」に変わって「地消地産」という考え方が広まりつつあるらしい。「地産地消、国産国消」ではなく「地消地産、国消国産」。2つは似て非なるものである。
「○産○消」は「消費行動への呼びかけ」だが、
「○消○産」は「生産構造の変革」が目的

私は、このような考え方は、JAグループが唱える「食」分野だけでなく、「衣食住」の様々な産業分野でも目指すべき日本の戦略と思う。


「食」の自給率は?
ところで、品目別の「食」の自給率はどうなっているのだろう。

f:id:musashino007:20230903144557j:image農林水産省「知ってる? 日本の食料事情 2022」より。

食料自給率は、全体では38%。主食の米は98%だが、パン、ピザ、中華麺、うどん、スパゲッティ、ケーキ、お菓子、天ぷらなど、大事な食品の原料となる小麦はたった17%だ。海に囲まれている日本なのに、食用魚介類の自給率が59%しかないのも驚きだ。あと注意すべき点は、鶏卵97%(13%)肉類53%(8%)飼料自給率を考慮したカッコ内の数字の方が実態に近い。飼料が輸入できなければ小麦粉より低いのだ。


「衣」等の自給率は?

食以外の「衣」等の自給率はどうだろうか?

f:id:musashino007:20230903212147j:image「日本のアパレル市場と輸入品概況2023」日本繊維輸入組合

輸入品の割合(輸入浸透率)は98.5%。すなわち衣料品自給率たったの1.5%ということだ。前年と比較すると、大半を占める中国からの輸入は1%減。ただ、バングラデシュは5.1%増、ベトナムは14.7%増、ミャンマーは62.3%増と、中国以外も少しずつ増えてはいるようだ。

今回「衣食」以外のデータは調べていないが、様々な産業分野で、安さを求めて製造拠点を海外(特に中国)に移しているため、特定の製品を除いて「Made In Japan」を見かけることは少なくなった。いくら日本メーカの製品のように見えても、裏のシールを見れば、やはり「Made In China」が多いのは、あえて言うまでもない。

 

地政学リスク等に対して、日本の取るべき長期戦略は?
農業・林業、漁業などを担う若手が減り、製造業でも工場の海外移転による国内産業の空洞化がずっと叫ばれている中で、「国消国産」を目指すべし、なんて当たり前のことだよね、と言いたいところだが、安いモノを求める私たち消費者の存在がある。だから、生産者側は「安く」するための対策を考えてしまう。しかし、そんなことを言ってられないところまで来ているのではないだろうか。
最近では特に、日本を取り巻く地政学リスクだけではなく、身近に迫ってきた地球沸騰リスクマグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%とされている南海トラフ地震等の大災害リスク等も考えなければならない。

これらの日本のリスクを回避するには、やはり「国消国産」を国の重要な施策とし進めるべきであり、そのためには、

❶生きるために最低限必要なモノは日本国内で生産できる国になること、そして、
❷「一国(特に中国)」に生産が偏った状態でなく、バランスの取れた「国際相互関係」を築いておくことであり、実現するためには、
❸世界から信用・信頼される国民、国であること、が大前提だと思う。

残念ながら、日本は科学技術で後退国になってしまった。「科学技術指標2023(文部科学省科学技術・学術政策研究所)」によれば、1年当たりの注目度の高い論文数では、スペイン、韓国に抜かれて前年の10位から12位に後退している。

日本から優秀な人材が去り、ビジネス上でも日本と組む理由がなくなり、国民の未来の幸せを無視した未熟な政治が続き、国民からも外国からも信用・信頼が失われていけば、どんどん日本のポジションは下がっていくだろう。
いつまでも先進国のつもりでいてはならない。今は、政治も経済も科学技術も後退国である、というこの「現実」をみんながしっかり受け止めて、決して「軍事力」ではなく、本当に「強くて逞しい」国になるため、本気で取り組まねば、日本は滅んでしまいかねない。

もちろん生産拠点の分散を図るため、海外の生産拠点を中国以外に移転することは既に始まっているが、もっとスピードを早めるべきだ。米国のApple社も中国からインドに移し始めたようだ。

水産業の典型的な例は、東京電力福島第一原発の処理水放出による中国の水産物全面禁輸問題だろう。日本のホタテ加工が「中国頼み」という現状を打開すべく、政府は「国内に加工施設」を作るために支援する(金を出す)と言い始めた。一見良い施策に見えるが、今更ながらだし、お金だけの問題ではない。そもそも働き手がいないのだ。日本の政府の苦手なところだが、漁業、水産業全体を横通しに考えた「構造的な変革」を起こさないと、結局何も変わらない、というか衰退していくだけだ。

林業でいえば、例えば、燃えない木材(既に技術はある)を使った木造建築等を国内全体で推進すれば、林業の活性化だけでなく、大量の炭素の封じ込めができ、地球沸騰対策に直結する。木は燃えれば二酸化炭素を出すが、燃えなけれは大量の炭素を蓄積出来る最良の素材なのだ。
しかし、林業事業者にいくらお金を出しても、何も進まない。働き手をどう増やすか、燃えない木材を作る会社をどう増やすか、ビル建築を計画する企業への意識改革をどう進めるか、家具や木工品などの製品を製作・加工する職人をどう増やすか、そして、これらを産業ループとしてどう繋げ、回していくか・・。これは省庁横断でなければ実現できるわけがない。

農業、水産業林業、工業などでの実質的な「国消国産」を実現する施策(生産構造の変革)を、国を挙げて、省庁を超えて推進してもらいたい。政府も目先の人気取りではなく、長期的な視野で、「将来の日本人の命を守る」ために、本当に真剣に取り組んで欲しい!と切に切に願います。

 

そうは言っても、いずれも1個人としては如何ともしがたい個人や家庭で出来ることはないだろうか?